家具・フィギュアセットのSS
8 名前: テーブル椅子セットSS 投稿日:
2006/11/06(月) 22:30:29
『テーブル椅子セット&ラノレフ・アノレフィギュア』
うらうらと暖かい春の午後…
ベノレモンド家の図書室は大きな窓から入ってくるそよ風と陽光でいっぱい。
窓際にたたずんで大きな書物をめくるアノレカードの横顔にぼんやりと見入るラノレフ。
さわやかな初夏の風にさらさらとなびく銀髪を見ているうちに、ついつい手が
止まってしまいます。
「…ラノレフ?」
「(ぎく)な、なんだ!?」
なんだか声が裏返っています。
「さっきから手が動いていないようだが。ペンの音がしない」
「そそそそそんなことはないぞ!? ちゃんと書いてる、ただちょっと綴りのはっきり
しないところが」
「そうか? どれだ。見せてみろ」
髪をなびかせするりと近づいてくるアノレカード。机にひじをつき、手もとをのぞき
込むと、ふわりといい匂いがラノレフの鼻をくすぐります。
「どれがわからない? 言ってみろ」
「…あ、あの、そのだな…(ちょ、顔近い! 顔近いっておまえ!)」
――どうやら勉強に気持ちが戻るのはもう少し先の若当主なようです。
9 名前: 城主の椅子セットSS 投稿日:
2006/11/06(月) 22:31:06
『城主の椅子&リヒ太・アノレフィギュア』
闇に閉ざされた魔の城の玉座の間…
「あ……ッ、ん、く……ッ」
「クク……どうした? さっきまでとはずいぶん様子が違うようだが……?」
「黙れ…ッ、あっ」
「フ……ドラキュラの息子が聞いて呆れる。なんだこの様は、ここを…こんなにして」
「違…っ、放せ……っ、う、あッ」
形のいい耳朶に立てられる歯にしなやかな肢体がびくりとのけぞる。
華麗な貴公子のよそおいはずたずたに切り裂かれて血に染まり、その下の白い胸と
引き締まった腰を、ほんのりと淡く色づいた乳首をのぞかせている。
巨大な玉座に掛けた男は、膝の上で身を震わせる獲物をゆっくりと堪能するべく爪を
研ぐ。声を漏らすまいと噛みしめた唇に血がにじむのを愛しげに舐めとり、そして
かたく閉じ合わされた脚のあいだの、秘め隠された部分に男の無骨な指先が侵入して
いく…
「あ、あ…ッ、いやだ……ッ」
懸命に抗っても、痛めつけられた身体に抵抗するだけの気力はもはや残っていない。
城主の唇に浮かぶ残酷な笑み。
すすり泣きにも似たかすれた喘ぎ声が暗い石天井に反響する。
ここは闇の底、影と夜の支配する、永遠の責め苦と快楽の部屋……
10 名前: 薔薇園のベンチセットSS 投稿日:
2006/11/06(月) 22:31:55
『薔薇園のベンチ&アノレ・ヨアフィギュア』
「…本当にいいのか?こんなところにいて」
「バカだなあ、君は。ヴァノレターのお遊びにいつまでも真正直につきあってたら、
こっちの身が保たないよ?」
だって、と不思議そうに首をかしげる長い銀髪の少年。
怒ったようにバラ色の唇をとがらせている少年は、同じ銀髪ですが肩のところで
切りそろえています。
どちらもまるでお人形のような、白磁の肌にきらめく瞳。
年のころはまだ十二、三歳、まだ伸びきっていない手足は子鹿のようにすんなりと
細くしなやかで形よく、花咲くバラ園の茂みのかげ、小さな石造りのベンチで、
おそろいのシルクのブラウスを着て兄弟のように身を寄せあっています。
「…でも、私はヴァノレターの言うことはなんでも聞くようにと言われている」
「だから、君はバカだっていうんだよ。あんなエロ親父のことなんか、言葉半分に
聞いておけばいいんだってば。だいたい、君が来てから僕のすることが増えてしょうが
ないんだから、少しは感謝しておくれよね。君ときたらほんとになんにも知らない
箱入りのお子様で、お坊ちゃまもいいところで、手がかかるったらないんだから」
「…………。」
「あーっ! な、泣くな、なんで泣くんだよまったく! これだからもう、箱入りの
お子さまは困るんだよね、ほらハンカチ!」
……赤白さまざまのバラが咲き誇るバラ園で、二人の小さなバラは、なんだかんだ
いって仲良しなようです。